愛育小児科 徳島県 徳島市 小児科 アトピー アトピー性皮膚炎 喘息 花粉症 尿路感染症 膀胱炎 腎盂炎 夜尿症 包茎 出べそ

子どもの病気
 以下の病気に対して、次のように対応しています。
■1.ウィルス感染症■
かぜ(感冒)
 咳や鼻水、発熱がみられます。ほとんどがウィルス感染症によるもので、抗菌薬(抗生物質)は効きません。ただ、かぜの症状でも、熱が高かったり、機嫌や食欲が悪かったりする場合には、細菌感染症が併発していることがあります。また、粘張な鼻汁が続くと中耳炎や鼻咽頭炎(細菌感染症のこの項目を参照)を起こすことがあり、要注意です。細菌感染症が疑わしい場合には血液検査などを行います。鼻水、鼻づまりがひどい場合には鼻汁吸引も行います。

RSウィルス感染症
 乳幼児とくに6ヵ月未満の乳児がかかると呼吸状態が悪くなり、入院治療が必要になることがあります。毎年秋から春に多くみられます。鼻水から始まり、しだいに咳がひどくなり、ぜーぜーといい出すことがあります。とくに未熟児や心臓病などの慢性的な病気を持っている方ではひどくなりやすいので要注意です。何回でもかかることがありますが、大きくなるにつれて症状は軽くなります。粘張な鼻汁が続くと細菌感染を引き起こして、中耳炎や鼻咽頭炎を併発することがよくあり、抗菌薬の投与が必要になります。乳児ではRSウィルスの迅速診断検査ができます。早期に診断して治療することで、乳児でもほとんどは外来で治療できています。

インフルエンザ
 インフルエンザウィルスの感染により、いきなり高熱、倦怠感、食欲不振などの全身症状や頭痛、筋肉痛、関節痛が強く出て、咳や鼻みずを伴います。高熱が出るとうわごとを言ったり、突然走り出したりと異常行動が見られることがあり、注意が必要です。感染しやすいため大きな流行を起こします。大人にもうつり、感染すると1〜2日で症状が出ます。鼻みずをとって診断キットで調べることにより10分余りで診断できます。治療薬としては、リレンザなどがあります。

アデノウィルス感染症
 アデノウィルスの感染により、咽頭炎を起こし、高熱が3〜5日続き、のどの痛みや、目の充血、下痢がみられることもあります。1年を通じてみられますが、夏にプールでうつるものはプール熱の別名があります。特別な治療法はなく、時間がたてば自然に治ってきます。

喉頭炎(クループ)
 多くはパラインフルエンザというウィルスの感染によるもので、のどの奥の声を出すところ(喉頭)に炎症を起こして、のどが痛くなり、急にオットセイの声のような咳(犬がほえるような咳)が出始めます。声がかすれたり、出なくなったりもします。のどの腫れが強くなると空気の通り道が狭くなって息を吸いづらくなり、息を吸うときにクーッと音がします。咳はしだいに軽くなっていきますが、よくなるまでには少し時間がかかります。また、一旦治っても別のウィルスによるかぜをひいた時に症状がぶり返すことがよくあります。
 ひどい場合は、薬を吸入したり、ステロイドを内服したりして喉の腫れをひかせます。乳幼児で息苦しさが強いときや、年長児でもまれに細菌感染による場合で熱が高く、息苦しさも強いときには、早いうちに入院治療が必要になるので注意が必要です。

ウィルス性胃腸炎
 ロタウィルス、ノロウィルス、アデノウィルスなどの腸管ウィルス感染によるもので、突然吐き始め、続いて水のような下痢、ときに白っぽい色の下痢になり、普段の便に戻るのには1週間位かかることがあります。熱が出ることもあります。ロタウィルスは冬から春の間に、ノロウィルスは1年中流行があります。ロタウィルス以外のものでは、嘔吐はあっても半日から1日でほとんどは自然に治まります。ロタウィルスの場合には嘔吐や下痢が続いて点滴や入院治療が必要になることもあり、注意が必要です。腹部超音波検査で小腸内に液性の内容物が充満している場合には嘔吐が何日も続き、回復するまでに時間がかかります。同じウィルスで何回もかかることがありますが、2回目以降は症状が軽くなります。
 嘔吐が続くときにはしばらく何も与えないことが大切です。ロタウィルスに対してはワクチンが利用できるようになりましたので、乳児期早期にできるだけ受けておきましょう。ともに吐物や便の中にウィルスが大量に含まれており、手で触ったり、吸い込んだりすることでうつりやすいので注意が必要です。吐物や便を処理するときには手袋とマスクを着用し、塩素系液体漂白剤を50倍に薄めて消毒する必要があります。

おたふくかぜ(ムンプス)
 ウィルスによる感染でおこり、感染後2〜3週間(潜伏期間)して、耳の下(耳下腺)がはれて痛がります。たいてい左右ともはれますが、片側だけのこともあります。はれは約1週間で自然にひきます。熱は出ても1〜4日で落ち着きます。このウィルスに対する薬はありません。ときに髄膜炎になると、頭痛、嘔吐が出現し、熱も出てきます。ひどいときには点滴や入院加療が必要になります。約千人に一人の頻度で難聴になりますが、この難聴に有効な治療法はありません。ワクチンを受けておたふくかぜにかからないようにしましょう。

反復性耳下腺炎
 ときに耳下腺が何度も腫れて痛がることがあります。おたふくかぜに2回かかることもまれにありますが、ほとんどは反復性耳下腺炎によるものです。原因はよく分かっていませんが、ふつう熱はなく、片方だけが腫れて、2-3日で治ることが多く、周りの人にうつることはありません。当院では、超音波検査を行うことで診断しています。

■2.細菌感染症■
溶連菌感染症
 溶連菌という細菌による感染症で、多くはのどに感染して、発熱、のどの痛みを起こします。綿棒でのどをこすって細菌をとって検査することによって約10分で迅速に診断できます。ペニシリン系抗菌薬を投与します。早期にきちんと薬を内服すれば、急性腎炎やリウマチ熱などの合併症を起こすことはなく、検尿の必要はありません。

鼻咽頭炎
 鼻咽頭は血管が多く、気管支と同じ粘膜でおおわれており、粘張な鼻汁が続くと肺炎球菌やインフルエンザ菌が鼻咽頭で増殖して強い炎症を起こして急に高い熱を出すことがあります。ときにはこれらの菌が血管内に入って菌血症を起こすこともあります。肺炎球菌ワクチンやヒブワクチンが定期接種化されて、鼻咽頭炎や菌血症の頻度はかなり少なくなりましたが、まだときに見られます。
 舌圧子を使ってのどを診察するときには咽頭と咽頭後壁は見えますが、咽頭後壁の上側にある鼻咽頭は軟口蓋に隠れて見えません。当院では、持続する鼻汁と急な高熱があり、血液検査で強い炎症反応があるときには、急性鼻咽頭炎を疑って、鼻孔から細い綿棒を突き当たりの鼻咽腔まで挿入して細菌培養検査を行った上で、ペニシリン系抗菌薬を投与しています。これによりほとんどは翌日朝までに下熱します。反応が悪いときには細菌培養検査の結果を参考にして抗菌薬を変更します。日本では気道の細菌感染症に対してセフェム系の抗菌薬がよく使用されますが、セフェム系抗菌薬は一般に細菌に対する殺菌作用が弱く、感受性検査で効果があっても実際に使用すると効果が得られにくく、耐性菌を生じやすい傾向があります。
 
副鼻腔炎
 色のついた鼻水が持続し、痰のからんだ咳がみられます。肺炎球菌やインフルエンザ菌が原因のことが多く、これらの細菌に対して免疫力の弱い幼児では、かぜを引いた後にくりかえし起こしますが、適切な抗菌薬(抗生剤)を投与すると治りやすいという特徴があります。当院ではこれらの細菌に有効で耐性菌ができにくいペニシリン系抗菌薬を主に使用しています。
 
中耳炎
 3歳までの乳幼児がかぜをひいた後によく起こします。とくに鼻水が続く場合には要注意です。耳を痛がったり、よく触ったり、不機嫌になったりしますが、耳の中をみて初めて分かることもあります。ほとんどは肺炎球菌やインフルエンザ菌が原因となり、これらのワクチンにより、頻度は減っておりますが、すべては予防できません。急性中耳炎は自然治癒傾向がありますが、症状の強い場合には抗菌薬を投与します。抗菌薬の効きにくい耐性菌による場合、とくにインフルエンザ菌による場合には治癒までに時間がかかることがあります。ひどいときや治りにくい場合には、細菌の培養検査を行って、よく効く抗菌薬を調べます。大多数は切開しなくても治ります。3歳までは繰り返し起こしやすい傾向にありますが、3歳を過ぎるとしだいに起こさなくなります。

百日咳
 百日咳菌の感染によってひどい咳が続きます。乾いた咳こみが続いた後にクーッと息を吸い込んだり、咳き込んで吐いたり、無呼吸発作を起こしたりするのが特徴です。4種混合ワクチンを受けていると症状が軽くなりますが、1週間以上咳き込みが続く場合には疑われます。1歳未満の乳児ではとくに無呼吸発作を起こしやすいので注意が必要です。以前は百日咳を正確に診断する方法がなかったのですが、最近になって百日咳菌抗原を数日で検出できるようになり、百日咳かどうかを正確に診断して、早期に有効な治療をすることが可能になりました。

肺炎
 発熱が続き、咳がひどくなります。肺炎球菌などによる細菌性肺炎と、マイコプラズマなどによる非定型肺炎があります。血液検査とレントゲン検査によって診断します。当院では、フィルムの不要なFCRを導入して、デジタル化して写真をモニターに表示しております。これによって、乳幼児でも撮り直すことなく、きれいなレントゲン写真がとれ、確実に診断できます。細菌性肺炎には抗菌薬の点滴注射を行うことで、ほとんどは外来で治療できます。
 
マイコプラズマ肺炎
 発熱、咽頭痛から始まり、しだいに咳がひどくなります。ふつう鼻水は出ません。通常の細菌性肺炎と違って、肺炎を起こしても聴診器での診察では分かりにくく、レントゲン写真を撮って初めて診断されることがあるため、非定型肺炎と呼ばれることがあります。最近は、外来で咽頭の検体をとって検査して10分くらいで診断できるようになりました。従来有効であったマクロライド系抗菌薬(クラリスやクラリシッド)が効かないものが出現して、入院治療を要する例が増えて問題となっています。このような耐性菌には、別の有効な抗菌薬を用いることで入院治療を要さずにほとんどは治癒に至っています。

菌血症
 乳幼児の鼻の奥(鼻咽腔)には、肺炎球菌やインフルエンザ菌などの細菌が住み着いており、何らかの原因によりこれらの細菌が増殖し、血液の中に入り込んで全身に広がろうとすることがあります。この状態を菌血症といいます。ふつうは、高い熱が出て、機嫌が悪くなります。急激に進行して髄膜炎や関節炎、皮膚の蜂窩織炎などいろいろな重い病気を引き起こして、命にかかわることがあります。以前には、発熱した3歳未満のこどもで、他の病気に特徴的な診察所見がない場合には、約5-10%の頻度で菌血症がみられ、日本で毎年500人から1000人の細菌性髄膜炎が発生していました。当院でも開院後2010年までの5年間に20人余りの菌血症を診断しましたが、いずれも早期治療により治癒に至りました(日本小児科学会雑誌に発表、117巻10号1574〜1581、2013年)。
 2011年からインフルエンザ菌b型に対するヒブワクチンと肺炎球菌に対するワクチンが公費で接種されるようになり、菌血症や細菌性髄膜炎などの重症感染症が激減しました。生後2か月からこれらのワクチンを受けられ、3回受けないと十分な免疫ができないので、できるだけ早く3回受けてください。
 これらのワクチンが接種されるようになって、菌血症や細菌性髄膜炎ははるかに少なくなりましたが、まったく発生例がなくなった訳ではありません。当院では疑わしければ、指先から微量の血液をとって血液検査を行います。自動血球計数CRP測定装置によって、5分足らずで結果が分かります。血液検査で疑わしければ、血液の細菌培養検査を行った上で、有効な抗菌薬を点滴で投与して治療します。

細菌性腸炎
 キャンピロバクターやサルモネラ、病原性大腸菌などの細菌が原因でおこる腸炎です。キャンピロバクター腸炎は鶏肉、サルモネラ腸炎は肉や卵、ミドリガメなどのペットが汚染源となります。腹痛や下痢がみられ、熱が出ることもあります。ウィルス性腸炎と同じような症状ですが、細菌性腸炎では発熱や腹痛、下痢がひどい傾向にあります。また、便に血液や粘液が混じっていることも多く、ときに重症になります。便の細菌培養検査で診断します。抗菌薬が有効です。

■3.胃腸の病気■
便秘症
 便秘とは、便が硬くて排便痛や腹痛を訴える場合をいいます。ふつう便の回数が週に3回以下になりますが、回数が少なくても便が硬くなければ問題はなく、反対に毎日排便していても硬くて出にくい場合には、痔になりやすいこともあり治した方がいいでしょう。何らかの異常が原因で便秘になることもありますが、大多数は習慣性の便秘と言われるものです。子どもの腹痛の原因として一番多いものです。超音波検査を行うと、便がどれだけたまっているかがよく分かります。診察を受けて、病気によるものではなさそうだと分かったら、繊維質の多い野菜、イモ類、豆類、果物、きのこ、海草類をしっかりとりましょう。ひどい場合には便をやわらかくするお薬をしばらく続けて、毎日決まった時間に排便する習慣をつけます。

腸重積
 小腸が大腸の中に入り込んで、腸がつまった状態になったものです。生後6か月から4歳ぐらいまでの乳幼児に多く、この時期には腸がお腹の中で十分に固定されていないために、動きやすく、重積を起こしやすいと考えられています。急に激しく泣いたり(腸がしめつけられている時に腹痛で泣きます)、顔色が悪くなったり、治まったりを繰り返します。吐くこともあります。時間が経つにつれて、血便がみられるようにもなります。24時間以上にわたって腸重積の状態が続くと入り込んだ腸が壊死におちいる危険性が高まり、手術で切除することが必要となります。早期に診断して治療する必要があり、乳幼児の急を要する病気の一つです。超音波検査を行って腸重責に特徴的なサインの有無をみることで診断します。

出ベソ(臍ヘルニア)
 生後1か月を過ぎるころからおへそが盛り上がってくることがあります。おなかの中の胃や腸などの臓器は腹壁筋という筋肉や筋膜で囲まれていますが、生まれた直後はおへそのある部分だけに隙間があります。生まれて間もなく自然にふさがれてきますが、この隙間が大きいと、おなかの中の腸がこの隙間から出てくるため(これをヘルニアといいます)なかなかふさがりません。放置していても1歳ごろには約8割は自然に治りますが、ひどいものでは治りにくく、治っても伸びきったへその皮膚がたるんでめざわりになって手術で治すこともあります。最近になって、皮膚のかぶれにくい粘着テープができ、この隙間から胃腸が出てこないように圧迫子で押さえてこの粘着テープで固定しておくと早く治ります。当院では当初から本治療を行っており、乳児期早期に治療を開始することで、ほとんどは1〜2ヶ月で治り、へその皮膚がたるんで出べそ(臍突出症)を残すこともなく、手術する必要もありませんのでお勧めです(日本小児科学会雑誌に発表、118巻10号1494〜1501、2014年)。

■4.アレルギーの病気■
アトピー性皮膚炎
 ほとんどの患者さんで、皮膚が乾燥しやすい体質があり、アレルギー疾患を起こしやすい体質(アトピー素因)が認められています。アトピー素因とは家族や本人に喘息、アレルギー性の鼻炎や結膜炎、アトピー性皮膚炎を認めたり、IgE抗体を作りやすい体質があることを言います。これらの要因で、皮膚に炎症とかゆみを起こしやすく、引っ掻くとよけいにかゆくなり、皮膚炎もさらに悪くなるという悪循環ができます。これを増悪する因子として、気候(暑さ、寒さ)、発汗、感染、日光、精神的ストレスなどが知られています。
 皮膚炎で荒れた皮膚に食物やダニなどの抗原が付着して皮内に侵入することが、これらの抗原に対するアレルギーの発生に重要な役割を果たすことが分かってきました。後々のアレルギーの発症をを防ぐためにも、皮膚を清潔にして保湿に努めること(スキンケア)が大切です。皮膚が乾燥しているとそれだけでかゆくなります。皮膚が敏感でかゆみを感じやすいため、シャワーで汗や汚れを落としてからすぐにワセリンなどの保湿剤を広めにぬります。湿疹がひどいときにはさらにステロイド軟膏をしっかり塗り、よくなれば保湿剤に切り替えてスキンケアを続けることが大切です。また、湿疹がひどい場合には、夏でもできるだけ綿製の長ズボンと長袖を着て肌の露出を避け、爪を短く切っておくことが大切です。伸びた爪で引っかくとその部分だけひどい湿疹ができあがります。

食物アレルギー
 食物アレルギーとは、原因となる食物をとることによって身体の中で免疫反応が起こり、皮膚・粘膜・胃腸・気管支などに様々な症状が出ることを言います。原因食物としては、卵、牛乳、小麦製品がほとんどを占めます。これらの食物をとって1〜2時間以内に症状が出る即時型と、それ以後に症状が出る非即時型(遅発・遅延型)の2種類に分けられます。
 ひどいのは即時型で、とくに多いのはじんましん・赤み・かゆみなどの皮膚症状、ぜいぜい・息苦しさなどの呼吸器症状、嘔吐・下痢などの胃腸症状です。複数の臓器にまたがる症状が出現する場合をアナフィラキシーといい、時には低血圧、不整脈などの循環器症状から意識喪失を起こし、いわゆるアナフィラキシーショックの状態になる場合もあります。アナフィラキシーの場合には早急に治療を行う必要があり、原因となる食物を摂取しないように厳密に制限する必要があります。

食物負荷試験について
 食物負荷試験は、食物アレルギーにより上記のような症状が出ないかどうかを実際に少量ずつ食べてもらってその後の経過を慎重に観察し、安全に食べられるかどうかを判断するものです。ときにアナフィラキシーショックを起こすことがあるために、一般的には入院の上で行われていますが、当院ではRAST検査等で比較的リスクが少ないと思われる場合に外来で食物負荷試験を行って即時型反応の有無を観察します。  詳しくは電話でお問い合わせ下さい。

気管支喘息
 アレルギー反応を起こしやすい人に多い病気で、多くはダニに対して過敏な反応を示します。気管支が敏感になっており、ひどい場合には冷たい空気や煙をすっただけで発作を起こして、咳き込んだり、息を吐くときにゼーゼー、ヒューヒューと音がします。また、かぜをひくと発作が出ることがあります。
 血液検査で過敏な反応を示す抗原を調べます。ほとんどはダニが原因になり、これはとくにふとんに多く、夜間や早朝に咳や発作が出やすいことの一因になっています。喘息の治療は発作が治まれば終わりではなく、発作を起こさないように予防することが大切です。1年に数回でも発作を繰り返していると大人になっても喘息が続きやすくなります。その予防には、ふとんの手入れやそうじをまめにすることが大切です。それに加えて、当院ではダニを通さないふとんカバーをお勧めしています。これを使用すると吸入するダニの量がはるかに少なくなり、発作を繰り返している子どもでも発作を起こしにくくなります。発作の程度がひどかったり、頻度が多い人には、ピークフロー値を測定して発作の状態を評価したり、家で吸入器を使用したりして、予防対策をしっかり行います。

アレルギー性鼻炎
 鼻水や鼻づまり、くしゃみが続きます。これらの症状が1年中みられる通年性のものでは、ダニにアレルギー反応を示すことが多く、鼻粘膜は色白ではれぼったくなります。春や秋にだけ症状が出るものでは、スギやカモガヤ、ブタクサなどの花粉にアレルギー反応を示し、鼻粘膜は赤くなります。当院では、血液検査により原因抗原を調べます。原因抗原や症状の程度に応じて対策を考え、抗アレルギー薬や点鼻液・点眼液を使用します。スギ花粉症で症状がひどい場合には4月一杯まで薬を続けます。また、当院ではスギ花粉症の新しい舌下免疫療法薬による治療を行っています。5歳以上のスギ花粉症が対象です。数年間1日1回舌下に服用します。ひどいスギ花粉症の症状がある方ではこれにより症状の軽減や治癒が期待できます。ダニアレルギーではふとん対策を主に指導します。また、舌下免疫療法もお勧めです。5歳以上で治療できます。多くの子供さんが杉やダニに対する舌下免疫療法を行っており、いずれも良好な効果が得られています。

■5.腎・尿路の病気■
尿路感染症(膀胱炎、腎盂腎炎)
 乳幼児で38℃以上の発熱があり、他の病気に特徴的な症状がない場合には、その約5%で尿路感染症が原因になります。尿路感染症の子どもは症状を訴えないため、診断がむずかしいものです。診断には尿の検査が必要です。当院では、採尿バッグやカテーテルを用いて採尿し、コバスライドという道具を用いて迅速かつ正確に診断して、早期治療に役立てています。

膀胱尿管逆流症
 排尿時に膀胱から尿管に尿が逆流する異常です。生まれつきのことが多く、高度のものは腎盂腎炎を起こしやすいため、注意が必要です。また、男児では腎が生まれつき小さい低形成腎を合併していることが多く、超音波検査で診断します。膀胱尿管逆流症には、これまでは手術治療が主に行われてきましたが、当院では内科的に管理して、尿路感染症を起こさないように、起こしても早期に診断治療して腎障害を起こさないように指導し、経過を観察しています。

夜尿症
 6歳になってもおねしょをするのを「夜尿症」といいますが、6歳児の1−2割にみられます。ふつう昼間にはお漏らしはなく、おねしょは大きくなるにつれて自然に治ってきます。小学校の低学年では本人はおねしょをしてもほとんど気にしていないことが多いものです。高学年になると、本人もおねしょを気にするようになり、治療への意欲が出てきます。この時期が治療開始のタイミングです。毎晩大量におねしょがみられたり、昼間にもおもらしがあったり、10歳をすぎても続いたりする場合には積極的な治療が必要です。当院では、尿の検査などをした上で、水分制限などの生活指導を中心に対処し、必要に応じて薬物やアラームを用いた条件付けによる治療を行っています。

包茎
 思春期前の子どものおちんちんの先は包皮という皮膚でおおわれていることが多いものです。ふつうは指で軽く包皮をむくことができます。完全にむけずに亀頭が全部見えないものを包茎といいます。その程度は、包皮がむけずに亀頭がまったくみえないものから、一部みえるものまでさまざまです。ほとんどは成長につれて3歳ごろまでにしだいにむけるようになってきますが、一部のこどもは完全に包皮がむけるようになるのに思春期ごろまでかかることがあります。包茎があると尿路感染症や亀頭包皮炎を起こしやすいとされており、当院では包茎に対してステロイド軟膏の塗布による治療を行っています。

■6.その他■
水いぼ(伝染性軟属腫)
 いぼのウィルスが皮膚に感染してできるものです。アトピー性皮膚炎の子どもは、皮膚が乾燥して荒れている上に、かゆみのために皮膚をひっかいて傷ができるため、ウィルスが感染して水いぼができやすいのです。痛み止めのテープを1時間貼ってからピンセットでつまんでとるとほとんど痛みもなく治ります。

ニコチン中毒
 近年、タバコを吸うことによって本人のみならず、周りの人にも大きな健康被害をもたらすことが問題になっています。長年喫煙すると本人に肺ガンや喉頭ガンなど全身のガンがおこりやすくなるだけでなく、狭心症や心筋梗塞、脳卒中などの全身の血管障害も生じてきます。その結果、喫煙することで寿命が約10年短くなると言われています。また、本人がタバコを吸わなくても他人のタバコの煙を吸うこと(受動喫煙)でも健康被害が生じることが分かってきました。とくに親が喫煙することで、子どもが気管支喘息になりやすくなったり、感染症にもかかりやすくなると言われ、さらに子どもの知能の発育にまでも影響するとされています。


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